STEAM Toy Contest 2021

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受賞作品

たくさんのご応募を頂きました。厳正な審査の結果、受賞者は以下の通りとなりました。

STEAM Toy大賞

すきまパズル

タケカワアヤセ
作品概要

ピースを、敷き詰めるのではなく、「隙間」をうまく作りながら置いていくパズル。ピースを正しく置くと、隙間の形が動物のシルエットとして浮かび上がるという作品。ピースの形状から何が出来上がるか予測しながら置いていって完成を目指すので、想像力とひらめきが必要となる。ボードには目や模様の一部が描かれており、ピースをはめる時のヒントとなったり、出来上がるシルエットがより見やすくなるようになっている。

審査コメント

ジグソーパズルと同じ感覚で解けるかと思いきや、解き味はまったく別物でした。ピースには何も描かれていないため、頼りになるのは形なのですが、「隙間ができる」という性質上、確実にはまる場所を特定することが難しく、1つのピースをはめるのに多くの試行錯誤が必要でした。しかしながら、その作業はとても楽しいもので、ボードに描かれた目をヒントにしたり、一部見えている部位から「この動物は鳥か!」「こういう姿勢になっていそうだな」と推定することでだんだんと分かってくるようになり、見えていなかった動物がわかったときの快感はこの作品ならではの楽しさでした。
「隙間」を使うことで、難しさも、絵が完成するという楽しさも兼ね備えることができ、やりごたえと達成感を見事に両立させたアイデアだといえるでしょう。ルールと目的が極めてシンプルであることから、子どもも取り掛かりやすく、楽しめるという点も素晴らしいです。
このように、新しいアイデアで新しい体験を生み出しながら、わくわく感と試行錯誤の楽しさ、形に対する感受性を引き出す本作品は、「子どもから大人までわくわくさせるようなトイ」を発掘する今回のトイコンテストにおいて、大賞としてふさわしいものであると判断しました。

サイエンス分野 優秀賞

該当作品なし

テクノロジー分野 優秀賞

該当作品なし

エンジニアリング分野 優秀賞

コリント・コンストラクション

佐藤 敏樹
作品概要

コリント台(パチンコ台)をみんなで作り、球を弾いて、球が入った場所によって得られる点数を競うゲーム。自由に盤面をデザインできるところが特徴の一つ。対戦においては、盤面にアイテムを設置するか自分が得点を得るためのパネルを置くか等、優先すべきことを判断しながらゲームが進む。磁性のある杭と鉄球、マイナスポイントの球等の要素もある。

審査コメント

ボールを弾いて飛ばす楽しさは言わずもがなですが、準備フェーズも知的な要素を含んでいて楽しく遊べます。徐々にできあがっていく盤面に対して、どのポケットに球が入りやすいかを想像したり、どこに壁を置けば自分の得点になりやすそうかを考えるのは、想像力を刺激する楽しいものでした。このフェーズを簡略化して抜き出すことにより、より子どもに取り組みやすいルールのゲームを作ることもできそうです。そして、盤面の構築や、仮説と検証に重点を置いて、エンジニアリング的な要素を厚くした教材として、このゲームが応用できそうだと思われました。

コントラスト

029 PRODUCTS
作品概要

黒と白の矢印が描かれた透明なコマを使う2人対戦ボードゲーム。コマは背景の色によって見える矢印が変化し、進行方向の変化が視覚的にわかるようになっている。コマを動かす、タイルを置く、といった操作を1ターンに2回行い、先に対岸に到達すれば勝ちとなる、いたってシンプルなルール。

審査コメント

素晴らしい発想のユニークなコンポーネントで、単純なコマを使うよりも「やってみたい!」という気持ちをそそり、プレイする最中もコマの見た目が変わる様に感動を覚えながら楽しめることでしょう。ルールはシンプルながらも戦略要素が多く、何度も遊び、研究しがいのあるゲーム性です。現況を把握し、「最短で目標地点まで行くには?」「来そうな相手コマの動きを妨ぐには?」などを、いくつも考えられる手の中から絞り込み、最適なものを判断して勝利への道筋を構築する…エンジニアリングの基本となる「積み重ねる思考」を刺激するボードゲーム作品といえます。

アート分野 優秀賞

じっくりミレー

川口 洋一郎
作品概要

絵画に描かれた人物の気持ちを想像する複数人用ボードゲーム。出題者は絵画の一部分に小さな額縁を重ね、6種類の「気持ち」カードの中から最もぴったりだと思う「気持ち」を秘密裏に選び、回答者はそれを当てる。名画を自由に解釈し、自分の感性と向き合ったり、対話を通して人の感じ方を知ったりすることを楽しむ。

審査コメント

アートに親しむ感覚が磨かれる素晴らしいゲームのアイデアです。登場人物の表情を汲み取るのはなかなか容易ではないため、必然的によく観察し、細やかな部分を見ることになります。出題者が感じたものが正解であるので、他の人の感じ方を知る機会にもなります。名画に親しむことになり、新たな題材を求めて他の絵画を積極的に探すことにもつながるという点も素敵です。

マスマティクス分野 優秀賞

あたしのジュースだけ、
ちょっと少ない!

常田 健一
作品概要

ジュースをわけるというテーマのアナログゲーム。各プレイヤーは、それぞれ与えられた目標の状態(1dLのパネル17枚の配分)を達成するために、何dLを移動させるかを選んで移動させる。移動量は複数のスプーンパネルから1つを選ぶことによって決まるが、スプーンパネルは早い者勝ちであるため、相手の妨害をすることが可能。運要素もありつつ、課題解決能力、戦略思考、論理性や数的センスを楽しく刺激する。

審査コメント

1dLのパネルを使って数量が視覚的にわかるため、数字に慣れていない子どもでも楽しむことができる数的ゲームです。作業は単純になるかと思いきや、最短で目標を達成する方法は案外見つけにくく、また、相手が欲しがりそうなスプーン(移動量)を先に選ぶという戦略要素も絡み、大人でも楽しむことができました。与えられたスプーンパネルを使って目標を達成するという一人用パズルゲームにもできそうで、それもまた楽しみながら思考力や数的センスを育む教材として奥深いものになりそうです。
Math分野の候補は多くありましたが、ルールがわかりやすく直感的に楽しめる点、一見して面白そうでやってみたいと思える点も、本作品の良い点でした。

キッズクリエイター賞

たくみZOO

たくみ
作品概要

地形をパネルで作り、動物を買い、収益を得て…といった動作を繰り返して、いかに立派な動物園を作りあげたかをポイントで競うゲーム。ポイントは主に、飼っている動物の種類で決まる。動物を売ることもでき、12ターンの間に地形に合わせて動物を売り買いし、お金とポイント稼いでいく、いわば“拡大再生産”を体験するゲームの正統。

審査コメント

動物園を作るという極めてキャッチーなコンセプトで、見事に“経営”を楽しむことができるゲームです。「この動物を買ったら何ターン売らないでいれば得だろうか?」「今あるたくみマネー(※お金)で買える最もお得な動物はどれか?」「この動物を売ってこの動物を買ったら果たして得をするのか?」「一列揃えるのが良いか?高い動物を買うのが良いか?」等々、まさに経営戦略とでもいうべき思考を存分に発揮させられる、素晴らしいゲームです。タイルの特殊効果やボーナスなどの要素もあり、大変よく考えられていて感動しました。

くっつけアイテム発明所

みなみ
作品概要

手持ちのカードにかかれたアイテムを“くっつけ”(組み合わせ)て、テーマに合った発明品を考え出すゲーム。どう組み合わせてどんなものができるのか、それがどう新しく良いものであるかを各プレイヤーはプレゼンし、最も多く票を集めた発明品が展示されるという流れでゲームは進行する。

審査コメント

発明の基本は「意外な組み合わせ」であるといえ、「意外なものからアイデアのヒントを得る」というのは、ブレインストーミングの手法にもあるものです。本作品は、それをダイレクトに題材にし、発明の楽しさを存分に味わえるように設計されたものです。「手持ちのアイテムを組み合わせてピンチを切り抜ける」といったゲームは市場にありますが、テーマに合わせた発明品を生み出すこと、そしてそれについてプレゼンをし、良かった物を決めるというゲーム形式は、ユニーク性のあるものです。そしてこの形式こそが、創造性を掻き立ててくれ、実際の発明に通ずるものであり、非常に好感を持ちました。

たくさんのご応募
ありがとうございました